**

建築パース屋:プレゼン工房のブログ

シンプル イズ ベスト

以前にも書いたが、多くの日本人が持っている造形的な感覚(好み)は「シンプル イズ ベスト」と言われる。
特に男が持つ感覚である。
確かに来客に差し出すカステラ、水ようかん、豆腐・・など角が欠けていない四角が多い。
これは「簡単に切り分けられる」と言う事ではなく、「四角(直方体)を美しく感じる」のだろう。欧米感覚ならようかんなどのスイーツも丸くして周りを生クリームで飾り真ん中にクリームにチェリーやアーモンドスライスなどをまぶして完成だろう。

建築に関しても殆どが四角の板を水平垂直に交差させて構造を創る。
発泡スチロールやボール紙を材料にしてまず模型を作って設計を吟味検討する。
お役所の公共建築物を「箱もの」といって殆ど四角形のフォルムだ。
平安京平城京の道路レイアウトもクロスした格子(グリッド)だ。パリの様に放射状と言った感覚はあり得ない。
いや、この時代より文化が遥かに進んだ現代にこういう都市計画すら無い事が由々しき事に感じますが、何もかも四角や直角に交差する形状が美しいと感じる国民性だと思う。

次にこの画像を見て頂きたい。
これは昨年スッタモンだで話題になった「新国立競技場」の最初のデザイン案で有名な方の中国・ハルピンのオペラハウスのデザイン案だ。
全く直線要素がない。今迄の日本人にはまったく無い発想だ。勿論発泡スチロールやボール紙で模型は創れない。
同じくカザフスタンの展示会場のプランだ。
これも今迄の日本にはまったく無い発想だ。
次にこのYouTubeの画像を見て頂きたい。そして次に「人物 イラスト」を画像検索して出てくる画像と比べて頂きたい。
日本人の描写力の稚拙さが、良くわかりますね。

今迄は公共建築物を「箱もの形状」にしても何も問題は無かった。
しかし。先ほど例に挙げた海外の建築物が国外でやたら顕在化する様になると、若い層は当然それに注目し、日本が如何に遅れているかを実感すると思う。
今は海外の建築計画が水面下で計画が進捗しているので分かりませんが、後10年,20年経った頃、果たして若い層の認識はどうなるのだろう。